■函館蔦屋書店での苦悩と発見


━━まずは、今のお仕事について教えて下さい。
木村:昨日までは函館蔦屋書店で働いていました。辞めちゃったので、今はプー太郎です(笑)。

━━言葉とは裏腹に、すごく明るいですね(笑)。差し支えなければ、辞めた理由や、勤めることになった経緯など聞かせていただけますか?
木村:ん~、どっから話せばいいのかな(笑)。とりあえず、蔦屋書店に入る前は、楽天に勤めていて、その前は10年くらいオーストラリアで観光の仕事をしていました。

━━一気にいろんな情報が出てきましたね(笑)。では、ひとまず帰国後、楽天に勤めていた頃のお話から聞かせてください。どういった業務に携わっていたのでしょうか?
木村:半分は広告営業、半分はコンサルみたいな仕事をしてましたね。ネット業界にはあまり詳しくなかったけど、いろいろ学べたし、楽しかったです。給料も良かったし(笑)。

━━そこを辞めて、蔦屋書店で働こうと思ったきっかけは何だったんですか?
木村:蔦屋の方が楽しそうだったんで! でも、働いてみたらなかなか大変でしたけどね(笑)。



━━具体的にはどのような部分で苦労しましたか?
木村:自分は、イベントの企画・運営をする部署にいて。まぁ、部署といっても俺ひとりだったんですけど(笑)。まぁ、こういう仕事をするのが初めてというのもあったんですが、イベントを開催するのってすごく手間暇がかかるんだなぁと実感しました。
まずコンセプトを打ち出して、企画を立て、それに合った出店者を選んで、ようやく開催といった流れなんですけど、ひとつひとつを決めるのにすごく時間がかかるんですよね。自分は「そんなに考え込むよりも、実際にやってみようよ!」って思っちゃうタイプなので、何をするにもこんなに手間暇がかかるのかと思って。そういう部分が大変でした。

━━オーストラリアの会社とかでは、その辺りを「とりあえずやってみよう!」って感じで進めちゃうんですかね。文化の違いというか。
木村:そうかもしれないですね。しかも、蔦屋の場合は、それでいて「果たして、そこまで時間をかけて練り上げたコンセプトはお客さんに伝わってるのかな?」って疑問もあって。それだったら、出店者の方が喜ぶような工夫なり、告知とかのサポートをしてあげる方がいいのかなと個人的には思ったりしてたんですよ。
で、実際に一度、子どもを対象としたイベントの中に、コンセプトよりも〝売れること〟を意識したお店に出てもらったんです。キャラクターグッズとか、バリバリ売れそうなアイテムを並べてもらって。

━━その結果はどうだったんですか?
木村:それが、全然ダメだったんですよねぇ。結局、コンセプトをしっかり練った方が売れ行きがよかったんです。その時に、蔦屋書店は〝文化を発信する〟という場作りに成功しているんだなと実感しました。実際に、そういうものを求めるお客さんが集まっているんだなと。

━━見事なブランディングというか。自分たちが価値を見いだすものを発信し、それに共感するお客さんが集まるというのは、健全だし、素晴らしい関係ですね。
木村:そうですね。辞めちゃったけど、最後の最後まで本当に勉強させてもらいました。





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