■〝世界中の子どもに野球を楽しんでもらう〟という仕事
━━最初に、今のお仕事について教えて下さい。
太田:世界少年野球推進財団(WCBF)というところで働いてます。世界各地から子どもたちを集めて、野球の大会を主催する団体なんですけど。
〝野球を世界中に普及させる〟っていうのが主な目的で、子ども達に野球を楽しんでもらって、そして好きになってもらおうという活動をしています。
━━その大会は、日本で開催されてるんですか?
太田:毎年開催地が変わるんですけど、日本が多いですね。他には、アメリカやプエルトリコ、カナダ、台湾などでも開催してます。
━━何カ国くらいの子ども達が集まるんですか?
太田:15、6カ国くらいですかね。去年はアメリカ、カナダ、ドイツ、デンマーク、マルタ、ペルー、あとアジアからは中国や韓国、フィリピンなんかからも子ども達がやって来ました。
━━具体的にはどういった大会なんでしょう? トーナメント形式で優勝国を決めるとか?
太田:一応、『世界少年野球大会』という名称なんですけど、実際にはキャンプに近い感じですね。午前中は野球教室をやって、午後からは開催地の観光をして、みんなで同じところに寝泊まりするみたいな。期間は10日ほどです。
━━なるほど。野球を軸に、各国の子ども達と交流を深めるような場なんですね。参加者というのは、各国の大会で優勝したチームとかを招くんですか? それとも応募で?
太田:日本の場合だと〝開催県枠〟と〝全国枠〟というのがあって、開催県枠は大会が行われる県が募集して、全国枠の方は僕らの団体で募集します。新聞とかに広告を出して、個人で応募してもらうかたちですね。応募多数の場合は、抽選で決めています。
━━募集人数は何人くらいなんですか?
太田:去年は千葉県で開催したんですけど、開催県枠で35人、全国枠は30人の計65人ですね。北は北海道から、南は沖縄まで、各地の子ども達が集まります。男の子だけじゃなくて女の子もいるし、中にはまったく野球経験がない子とかもいるんですよ。
━━野球経験がなくても参加可能なんですね。海外からの参加者も応募で集めるんでしょうか?
太田:世界野球ソフトボール連盟(WBSC)というのがあって、そこが世界中の野球団体の統括をしている組織なんですよ。そこに「こういう大会をやるので招待状を書いてください」という連絡をして、各国の野球連盟の方で参加者を選んでもらってます。作文を書いてもらって選考したりとか、各地の野球チームから推薦してもらったりとか、方法は様々ですね。各国からの参加枠は5人なので、5人一組で来てもらいます。
━━日本人の参加人数が多いんですね。開催地も日本が多いということですが、そもそも世界少年野球推進財団というのは日本の財団なんですか?
太田:そうです。元プロ野球選手の王貞治さんと、アメリカのホームラン王だったハンク・アーロンさんって方が設立した財団で、オフィスは東京にあります。
設立は25年前。ちょうど王さんが現役を退いて、監督になる前のタイミングですね。王さんは財団の理事長として、大会期間中はほぼずっと参加しています。
━━世界少年野球推進財団の中で、太田さんはどんな業務を担当しているのでしょう?
太田:基本的には大会運営に関するすべてのことをやってます。お金集めの部分から、各団体との連絡、野球教室の企画など。一応、メインの業務は海外とのコンタクトですね。
━━野球以外の部分、例えば各地での観光プランとかも財団側で企画するんですか?
太田:うちは野球教室の運営がメインです。子ども達をどこに連れていくとかは、地元の行事なので自治体の方々に任せることが多いですね。
━━去年は千葉県での開催だったということですが、具体的にはどういう場所に行くのでしょう?
太田:まずは千葉マリンスタジアムですね。プロ野球の試合がある日だったんですけど、試合前にグランドでキャッチボールさせてもらったりして。観客もいる中だったので、子ども達はもちろん、僕もテンション上がりました(笑)。
あとは、パークゴルフですね。パークゴルフって日本発祥の競技らしくて、海外にはないんですよ。その他だと、『房総のむら』という日本の伝統的な生活が体験できる施設だったり、成田山新勝寺にも行きました。