西川匠さん(31)
職業:会社員
出身地:函館
現住所:埼玉
函館→茨城→埼玉
セコム株式会社のラグビーチーム『SECOM RUGGUTs』の現役選手として活躍する西川匠さん。「2020年までのトップリーグ復帰」を目標に、〝会社員〟と〝ラグビー選手〟という二足の草鞋を履く生活を続けています。函館北高校から本格的に競技をはじめ、名門・流通経済大学に進学した西川さんですが、そのラグビー人生は決して平坦なものではありませんでした。強化支援が打ち切られた企業ラグビー部の実情や、息子への期待、故郷・函館への想いなどを伺いました。
取材・文章:阿部 光平、撮影:馬場 雄介、イラスト:阿部 麻美 公開日:2015年11月27日
埼玉での暮らしと函館への想い
━━今の会社には、どういった経緯で入社されたんですか?
西川:セコムのラグビー部の部長さんが、函館北高の OB だったんですよ。それで声をかけていただいてたんですけど、大学の頃は体も細かったんで、社会人では通用しないだろうなと思って、一度お断りしたんです。ラグビーは、大学で辞めようと。
━━選手として生きていくのではなく、就職して生活していこうと思ってたわけですね。
西川:そうです。それで、函館の消防を受けようと思ったんですけど試験の日程が合わなくて、旭川の消防を受けたんですよ。とりあえず、北海道に帰れればいいやと思って。
━━北海道に帰りたいと思ったのは、なぜだったのでしょう?
西川:大学時代、夏と冬のオフには帰ってたんですけど、やっぱり地元はいいなって感じて。親には「仕事ないから、なるなら公務員だよ」って言われてたのもあって、消防を選びました。
━━結果はどうだったんですか?
西川:全然ダメでしたね。それで焦って、2、3社受けたんですけど、ことごとくダメで。大学4年の2月の時点で、就職先が決まってないのがラグビー部で僕だけだったんですよ。
それくらいの時に、またセコムでラグビー部のディレクターをやってた方から「ウチでやらない?」って言ってもらったんですけど、僕としては本当に通用しないと思ってたので「ちょっと考えさせてください」って、伸ばし伸ばしにしてて。
━━それがどこで心変わりしたんですか?
西川:大学のコーチからも「本当にそれでいいのか?」って言われてて、やっぱり受けてみようかなと思いました。それで、最終の試験にエントリーして、内定もらうことができたんですよね。それが、大学の卒業式の日でした。
━━おー! またもや、劇的な展開ですね!
西川:本当にギリギリでした。それで、3日後が独身寮の入寮日だって言われて、急いで準備して、埼玉に引っ越したんです。迷いましたけど、結果的にはいい判断だったと思います。
━━就職活動中は「北海道に帰りたい」という気持ちがあったとのことですが、今はもう地元に帰りたいなって気持ちはありませんか?
西川:なかったので、こっちに家も買っちゃったんですよ。だけど、今年の夏に合宿で函館に行った時、高校の同級生と飲みに行ったりして、「函館帰りたい」って気持ちが芽生えちゃって。ふとした時に友達と会えるのが、すごく心地いいなって思ったんですよね。
━━その話は奥さんにもしたんですか?
西川:いや、してないです。嫁さん、寒いところが苦手で。生まれたのは広島なんですけど、埼玉で育った人なので、「もし北海道とかに異動とかになっても1人で行ってきてね! 私残ってるから」って言う人なんですよ(笑)。
━━絶対に嫌なんですね(笑)。帰省する機会も少ない感じですか?
西川:そうですね。家族では、去年の夏に嫁さんと子どもで帰ったくらいですかね。
━━実際の可能性として、今の会社にいて函館転勤とかはあり得るんですか?
西川:あります。オーシャンスタジアムの近くに函館支社があるんですよ。仮に、異動届を出したとても、受理されるかは分からないですけど。
━━18歳で函館を離れて13年ということになりますが、今の函館はどのように見えていますか?
西川:僕が知ってる函館からは街並みも少し変わってきてますよね。駅前はさびれたなって思いますけど、五稜郭は良くなっている印象です。
あと、高校までしかいないので、美味しいお店とかあんまり知らないじゃないですか。今になると、そういうのをじっくり開拓したいなぁとか思いますね。
━━都心と比べて、函館が良いなと思う部分や、不便に感じるところなどはありますか?
西川:良い意味で何もないというか、都心みたいにゴミゴミしてないのはやっぱり過ごしやすいです。
不便なのは、欲しいものが簡単に手に入らないとことですかね。僕は靴のサイズも大きいので、そういうのを探そうと思うと、函館では大変なんです。大抵のものはネットや通販でも買えますけど、こっちだと大きいサイズの服や靴を取り揃えた店とかもありますし。
━━反対に、埼玉の良いなと思う部分や、不便に感じるところなどがあれば教えて下さい。
西川:交通の便がいいので、行きたいとこにすぐ行けることとか、子どもと遊べる施設がたくさんあといった面は良いですね。ただ、人が多いのが苦手なので、その辺りは嫌ですけど。
━━ラグビーを続けながらの社会人生活ですが、子育てのことも含めて、今後のヴィジョンなどあれば聞かせてください。
西川:子どもに対しては、とりあえずラグビーやってもらいたいですね。あわよくば高校の日本代表とか、僕が実現できなかったことをやってもらいたいという気持ちはあります。
まぁ、野球やりたいって言ったら野球でもいいですけど(笑)。
━━個人の目標としては2020年までに、チームをトップリーグに復帰させると。
西川:そうですね。5年後、体がもつかわからないですし、嫁さんとの調整もありますけど、ラグビーは続けていたいですね。
MY FAVORITE SPOT
ラッキーピエロ
「好きなメニューは、カレーかオムライスですね。五稜郭の裏か松風店によく行ってました」
裏夜景
「最近は行けてないですけど、大学生の時に高校の同級生の車で連れて行ってもらった時のことが印象に残ってます」
ニヤマ高原スキー場
「小さい頃は親に連れられてスキーをしてて、大きくなってからはファンスキーをやってました。〝ふりこ〟ってコースが好きでしたね!」