大沼の畔で、『Paard Musée(パド・ミュゼ)』という牧場を経営している宮本英樹さん。駒ケ岳を望む広大な敷地では、世界各地からやってきた馬と、北海道の在来馬である「どさんこ」が一緒に草を食み、大自然の中で人々と暮らしを共にしています。
生粋の開拓一家に生まれた宮本さんは、道東の置戸町で生まれ育ち、高度経済成長期の真っ只中で、自分が親しんできた自然やコミュニティーが破壊されていく様子を目の当たりにしてきたといいます。地元を出て世界中を放浪した後に、北海道へと戻り、〝エコ〟や〝暮らし〟という観点から道内各地で様々な交流事業を成功させてきた宮本さん。現役の開拓使として活躍する彼が、次に目指したのは〝懐かしい未来〟でした。〝21世紀の開拓〟というコンセプトを掲げ、新天地・大沼で持続可能な暮らしを体現している宮本さんに、失われつつある馬との暮らしや、エココミュニケーションと経済の在り方、函館の街に感じる〝チグハグ感〟などについて伺いました。
ー取材・文章:阿部 光平、撮影:妹尾 佳、イラスト:阿部 麻美