本記事は、函館地域承継マッチングプラットフォーム「 いさり灯」からの転載です。
 
 
 

事業継承によって、函館に眠っている価値をグローバルに発信したい。

国内外のクリエイターと共に、各国でコミュニティを共創していくクリエイティブ・エージェンシー『株式会社monopo』のCEOとして活躍されている佐々木芳幸さん。「Local to Global,Global to Local」を経営方針のひとつとして掲げ、ローカルに敬意を払いながら、その価値を世界に発信する取り組みを続けています。
 
 今回は、自身の地元である函館の伝統や商品、資源を引き継いでグローバルに発信したいと考え、『いさり灯』に応募してくださいました。函館で実現したい事業承継やビジョンについてインタビューをお届けします。
 
プロフィール
佐々木 芳幸さん(ささき よしゆき)
株式会社monopo CEO。北海道・函館市生まれ。函館ラ・サール高等学校、早稲田大学社会科学部卒業。大学在学中ベーシストとして活動。2011年の卒業と同時に株式会社monopo(現 株式会社monopo tokyo)を設立。2019年にロンドンにmonopo London.Ltdを設立。2021年には株式会社monopoを株式会社monopo Tokyoに改組し、新たに持株会社、株式会社monopoを設立、同社CEOに就任した。同年ニューヨーク拠点 monopo New Yorkを設立。
 
 

 
文章:阿部光平

 

 

ミュージシャンを夢見ていた少年が楽器をやめるまで

 
 
―佐々木さんは函館のご出身で、高校卒業までの18年間を過ごされたそうですね。函館では、どんな学生時代を送っていましたか?
 
佐々木:函館にいた頃は音楽ばかりやってましたね。両親がクラシック音楽をやっていたこともあって、小さい頃からピアノを習ってたんです。でも、中学生くらいになるとピアノはダサいと思うようになって、ベースを弾きはじめました。そのまま中高ではバンドを組んで、フライデーナイトクラブやベイシティズストリートでライブをしてましたね。
 
―じゃあ、もう音楽漬けの学生時代を。
 
佐々木:そうですね。高3で進路を決めるときには、「音楽で食べていきたい」と思っていました。いろんな場所に出入りするなかで、もともとプロで音楽をやってた人たちと知り合ったんですよ。そういう人たちに「どうやったら音楽で食べていけるんですか?」って話を聞いて、レコーディングのサポートや楽曲のプロデュースなど、バンドで売れる以外にも音楽で食べていく方法はあることを教えてもらいました。
でも、僕としてはプレイヤーとして食えるようになるのが一番かっこいいと思ったんですよね。なので、バンドをやる時間が取れそうで、なおかつ音楽で食べていくための人脈が作れそうな環境を求めて、東京の大学に進学しました。
 
 

 
―函館から出てきた18歳の佐々木さんにとって、東京での暮らしはいかがでしたか?
 
佐々木:僕、函館でバンドをやってたときには自分のことを天才だと思ってたんですよ。絶対に日本を代表するベーシストになれるって。だけど、大学に入った初日でポッキリと鼻を折られました。
音楽サークルの人たちが新歓の催しでやってたセッションが上手すぎて、俄然としたんです。「君、弾いてみる?」とか言われて、「いやいやいや」って(笑)。それはすごく覚えてますね。もう衝撃的で。
 
―井の中の蛙だったことを痛感させられたんですね(笑)。
 
佐々木:そうそう、まさに。そこで出会ったのが、後にmonopoを共同創業することになる岡田隼というベーシストの先輩だったんです。彼は大学で唯一ベーシストとして仕事をしていた人で、プロが夜な夜な集まってセッションをしているバーに連れて行ってもらったりしました。
 

 
佐々木:そういう場で僕は「プロになりたいんです!」って自分の名刺を配ったり、とにかく営業をしまくってたんですよ(笑)。そしたら徐々にレコーディングとか、サポートミュージシャンの仕事をもらえるようになり、大学2年の頃には音楽で食べられるようになったんです。
 
―えー、すごい!
 
佐々木:だけど、大学には僕よりもずっと上手い人がたくさんいたんですよ。プロになりたいって言ってめっちゃ練習してて、圧倒的にセンスもあって、自分は絶対に敵わないって人もいて。そういう人たちに仕事がないのに、僕には仕事があるって状況に違和感を持つようになっていったんですよね。
 
―必ずしも実力者が仕事をもらえるわけじゃないという状況に。
 
佐々木:そうなんですよ。そのときに、自分がやってるのはクリエイターというより営業だなと思って。薄々感じてはいたけど、それをはっきり認められたことで、ミュージシャンという仕事に踏ん切りがついたんです。
 

 
―そこで音楽の仕事を辞めたんですか?
 
佐々木:辞めたというか、自分にきた仕事の依頼に、僕よりも上手い大学の人たちを紹介するようになりました。そうして上がってきたレコーディング音源を聴いてみると、やっぱりすごくよくて。それで僕も悪い気がしないというか、自分がプロデュースした音楽という実感が持てたんです。
 
―自分が弾かなくても、出来上がった音楽に当事者意識を持てたんですね。
 
佐々木:気持ちよかったんですよね、それが。そっちの立ち回りのほうが自分には合っていると思いました。
だから、僕はちゃんと実力がある人が評価される仕組みを作りたいと思うようになったんです。周りの天才的なプレイヤーたちが音楽の道を諦めて、就活していく姿を見るのが悔しかったので。自分はその人たちと現場を繋ぐ役割を果たせるかもしれないと思って、プレイヤーからは手を引きました。
 

実力のある人が評価される真っ当な社会を目指して

 

 
―佐々木さんが経営するmonopoは、「人々が本来持つ潜在的な価値を、本当の強みとして解放する」というパーパスを掲げていますよね。その設立背景には「必ずしも実力のある人が評価されるわけではない」という佐々木さんが体験した違和感があったのでしょうか?
 
佐々木:それはかなり繋がってますね。世の中って歪んでるんだなと思ったし、そういう状況が嫌だったんですよ。本当は表現力があって頑張ってる人が機会を与えられて、世に出るほうが気持ちいいじゃないですか。
 
―真っ当な社会って感じがしますよね。
 
佐々木:青臭いかもしれないけど、そこを目指したいなって。だから、世界中の才能、ポテンシャル、表現欲のある人たちが、適正な価格で、いいクライアントと出会い、コラボレーションする機会を作りたいと思いました。それがmonopoを立ち上げた大きな理由で、僕らが今やっていることなんです。
 
―そうやって多くの人が正当な評価を受けるようになれば、社会が真っ当な姿に近づいていくはずだと。
 
佐々木:はい。僕らは、それを信じて仕事をしてます。
 

 
佐々木:僕らがやっているのはブランディングやプロモーションの仕事で、平たく言えば広告屋なんですよね。だけど、広告って嫌われ者じゃないですか。
 
人は1日平均で数百個のロゴを見て、数千個の広告に出会ってるんですよ。いろんなデバイスや、街にある看板などを通して。それくらい膨大な量の情報が強制的に入れられているんです。そのなかでいかに効率的に、インパクトのある効果を出すかというのが、これまで広告会社がやってきたことじゃないですか。
 
―そうですね。よりたくさんの人の目に入って、印象に残るように。
 
佐々木:でも、それってイケてないと思うんですよ。街を歩くことが人々の生活の一部になっている以上、見る側の立場からすれば気持ちよく受け入れられる広告のほうがいいじゃないですか。逆に、ウザがられるくらいなら、広告なんてやらないほうがいいんですよ。
 

 
佐々木:それって広告以前に、企業の姿勢の話ですよね。まずは企業として、社会とどういう接点を持つべきかって発想に立ち返る必要があると思うんです。そういうことを疎かにして、広告では綺麗なことを謳っている企業っていっぱいあるんですけど、それはおかしいんじゃないかなって。
働いてる人たちが企業の姿勢に誇りを持って、商品にちゃんと価値があると信じている。そういう状況で、伝え方にも嘘がないという一貫性が、今の時代には求められている気がするんですよね。
 
―嘘がすぐにバレてしまう時代ですからね。
 
佐々木:そうそう。自分たちがやりたいことを、ちゃんと社会的な認知と揃えて、気持ちのいいかたちで発信していく企業が増えていったほうがいいじゃないですか。めっちゃ綺麗事ですけど、僕らはそういうきっかけを作る会社でありたいと思っています。
 

函館の価値を再定義する事業承継のビジョン

 

 
―今回、佐々木さんが函館の事業承継の「担い手」として手を挙げてくださった理由は何だったのでしょうか?
 
佐々木:僕らはアイディアやクリエイティブ、コンサルテーションなどを価値にして、クライアントの方に買ってもらっています。時間単位だったり、アウトプット単位だったり、基本的には人が働いたものに対してお金をいただくという労働集約型のビジネスなんですよね。
「人々が本来持つ潜在的な価値を、本当の強みとして解放する」というパーパスに沿って、人の価値を最大化させるためには、まず社会との認知を揃えなければいけません。最近だとデザインという言葉の定義は広くなってきてはいますが、社会認知としてはまだ「見た目をかっこよくすること」というイメージが強いじゃないですか。そうした認識を拡張して、仕事の価値を最大化していくためには、お金の取り方を変えるって方法もあると思ってるんですよね。
 
―お金の取り方を変える?
 
佐々木:ええ。例えばですけど、歴史ある酒蔵があるとしましょう。そこにはクラフトマンがいて、技術もある。だけど、マーケティングやブランド作りが弱い。そういったところを強化したいけど、予算がない場合ってありますよね。
そういうときに、まずはお金をもらわずに仕事を受けて、代わりに少しの資本をいただく。それで僕らが得意とするリブランディングやPRによって企業・商品の価値が上がっていけば、結果として自分たちの利益に繋がっていくじゃないですか。もし、その商品が海外で大ヒットしたら、通常の製作費以上の利益になる可能性だってあるわけですよ。これって、やってることは同じで、お金の取り方を変えているだけなんですよね。
 
―最初に製作費をもらうか、成果によって利益を得るかの違いってことですね。
 
佐々木:そうです、そうです。リブランディングやPRを必要としているけど、予算が組めない事業者さんがいるという現状を、契約形態をアレンジすることで変えられないかという挑戦でもあります。
 

 
佐々木:実際、歴史や技術はあるけど、マーケティングやPRが苦手で廃業してしまう企業ってあるじゃないですか。そういうところ事業承継させてもらって、リブランディングをするというのは、僕らにできることなんじゃないかなって。
monopoは東京の他に、ニューヨーク、ロンドン、ベトナムにも拠点あって、17カ国のメンバーがいます。だから、「ロンドンの人はこの酒をどう思うか」みたいなことができるんですよね。そうやっていろんな人のフィルターを通すことでブランドや商品の価値を再定義して、少しでも期待値を上げられるなら、その挑戦には意味があると思うんです。
 
―そういう視点の獲得は、地方の事業者だけでは難しい領域かもしれませんね。
 
佐々木:うちの社員や周りにいるクリエーターの方たちにとっても、時間やアウトプットの単位でお金をもらう仕事から、自分がオーナーシップを持って価値を磨き上げることで将来的なリターンを得るという発想に切り替わっていくきっかけになるんじゃないかなと。
クリエイターってお金の話に苦手意識がある人が多いですけど、そういう経験を積むと資本家の視点も持てると思うんですよ。そんな目論みもあって、事業承継の「担い手」に手を挙げました。
 

 
佐々木:函館という観点でいうと、僕、35歳になったら、会社を次の人にバトンタッチして、函館市長になりたいと思ってたんです。
 
―へぇー、そうなんですか!
 
佐々木:思い描いていたビジョンは、さっきの話と似てるんですけど、函館の価値を再定義したいと考えていて。例えば、函館山の上って最高のロケーションじゃないですか。あそこのレストランって、もっと単価を上げても行列を作れるポテンシャルがあるはずなんですよ。市内のホテルもそうですよね。ロケーションがよくてもサービスが低下してて、コップが汚れてるような状態だったりして。
そういう事業を市が買い取って、優秀な人材を投入することで、バリューアップさせてから民間に返すみたいなことをやったらいいのになと思ってたんです。そのために必要な資本参加は、函館の人だけでなく、いろんな国や企業の人たちが投資できるようにすれば面白くなるだろうし。
5年前くらいまでは、そういうことを真剣に考えてました。最終的には市長になるよりも自分の事業としてやったほうが面白いって思い直したんですけど、口だけで終わったという心残りがあって。
 

 
―それからも函館に関わりたいという想いは持ってたんですか?
 
佐々木:それはもう、ずっとありますね。僕、高校生までは本当に地元のことしか知らなくて、函館がマジで日本一の観光都市だと思ってたんですよ(笑)。だから、大学に行ってからも「函館って知ってます? 世界三大夜景のひとつなんですよ!」みたいなことを飲み会で言いまくってて。それくらい地元に誇りを持ってたんです。
だけど、東京に来たら函館ってビックリするほど認知度が低いし、行ったことあるって人も少なくて。イカのことも夜景のことも、本当に知られてなかったんですよね。でも、京都のことはみんな知ってるわけですよ。それが、すごく悔しくて。だから、今でも函館はいい街だって思いたいし、思ってもらいたいって気持ちはずっと持ってます。田舎者の反骨心みたいなものなんですけど。
 
―僕も函館に対して同じような気持ちを持っていたので、すごくよくわかります。
 
佐々木:でも、帰る度に自分の記憶にある函館の姿と現実の差がどんどん開いてて。「こんなにショボかったっけ」みたいに思うこともあるんですよね。それはすごく悲しいし、そんな現状を変えたいというのも、このプロジェクトに手を挙げた理由のひとつでした。
 

グローバルの行き着く先はローカルにある?

 

 
―『いさり灯』というサービスは、事業を承継したい人と、受け継ぎたい人をマッチングさせる事業です。佐々木さんが、函館で一緒にやってみたい事業者の方のイメージがあれば教えてください。
 
佐々木:僕がやりたいというより、できることが大事だと思ってて。monopoは「Local to Global,Global to Local」を経営方針のひとつとして掲げているので、できることの一案はグローバル化ですね。
ただ、グローバルってすごく抽象的な概念じゃないですか。いろんな人種の人たちが交流をしながら、何かの活動を生んでいく状態をグローバルと呼ぶならば、その具体は何だろうって考えていくと、たぶんローカルに行き着くんですよ。
 
―グローバルの行き着く先がローカル……?
 
佐々木:東京やニューヨークってグローバルシティって呼ばれてますけど、普段の生活でグローバルな交流があるかといえば、そんなことはないじゃないですか。だから、街全体ではなくて、ある会社やグループのなかがグローバルな状態になっていて、それが各地にあるだけなんですよ。そういう人たちの小さなコミュニティが、ローカルにリスペクトを持ちながら外との架け橋になれたら、ものすごい価値が生まれると思うんです。
 

 
佐々木:グローバリゼーションを掲げて、外国人を5人くらい集めて、実質的には機能していないグローバル事業部みたいなのを作ってる企業っていっぱいあるじゃないですか。そういう企業が、ダイバーシティインクルージョンなんて言葉を使っていることには違和感があるんですよね。
 
―外側だけ整えて、中身が伴っていないというか。
 
佐々木:そうそう。函館にもあると思うんですよ、グローバルなコミュニティって。それが大学なのか、どこかのお店なのかわからないですけど。そこの人たちが、函館の街や暮らしに誇りを持って、海外に紹介する。地元のコミュニティだけで愛されている商品やブランドに多様な視点を加えることで、「塩辛って、マジでクールじゃん!」みたいな話に変えていく。そうやってローカルにあるグローバルな種を見つけて、火をつけていくのが大事な気がするんですよね。
長年ローカルで愛されてきたけど、時代に取り残されて自信を失ってしまう企業やブランドってあるじゃないですか。そういうものが、外の地域や外国の人から評価されることで、再び奮い立つようなきっかけを作りたいんです。monopoという多様なフィルターを通せば、函館の様々な価値を再定義できると思うので。
 

 
佐々木:うちの会社にいるパリ出身の子が面白くて。納豆が超好きなんですけど、さつまいもにかけて食べるんですよ。発酵食品だからチーズみたいな感じなんですって。実際に食べてみたら美味いんですよね、これが。
その子はSNSのフォロワーが数十万人いて、『納豆スイートポテト』とかいって写真をアップすると、めちゃくちゃたくさんのイイネやコメントがつくんですよ。
 
―えー、すごい!
 
佐々木:これを僕がSNSにあげても、たぶん「キモい食べ方」ってことで終わっちゃいますよね。だけど、パリジェンヌのインフルエンサーが美味しい食べ方を見つけたってなると、納豆の価値も変わってくるし、もしかしたら納豆スイートポテト用のさつまいもが開発されるなんてこともあり得るじゃないですか。
これって、結局のところ売り方なんですよね。いい売り方ができないと商品は売れないし、売れないと技術は廃れる。そういう当たり前の話ができてないところが多いのは、地方のもったいないところだなと思います。
 

起業や事業承継のハードルを下げる函館式ビジネスモデルを作るために

 

 
 
―事業承継プロジェクトを進めることによって、今後、函館がどんな街になっていってほしいと思いますか?
 
佐々木:これは函館に限った話じゃないんですけど、商売をはじめることの心理的なハードルが高すぎるなと思ってて。もっとたくさんの人が、自分のやりたいことを形にできるようになったらいいのになと思うんですよね。
そのためには起業支援のようなサポートが必要だって話もあるんですけど、その前に「失敗しても、またチャレンジすればいいじゃん」みたいな空気感を作ることが大事なんじゃないかなって。
 
―今はどちらかというと「起業したら絶対に失敗できない」という空気感がありますもんね。
 
佐々木:僕らもいろんな子会社を作って、元社員や母国に帰ってく人たちに株を渡して、起業を支援してるんです。商売をはじめることが、その人の人生における大きなターニングポイントになるのを見てると、すごくドラマティックだし、僕らも嬉しいんですよね。
函館でもたくさんの若者が事業を立ち上げていくみたいな空気感ができたら、すごくエキサイティングじゃないですか。街のブランドとしても、インパクトがありますよね。
 

 
佐々木:ただ、商売をはじめやすい空気作りといっても、「スタートアップの街」みたいな流行りものっぽい打ち出し方は函館には合ってないと思います。やっぱりコンセプトが重要なんですよね。
そのひとつとして、ゼロイチではじめる起業じゃなくて、事業承継という仕組みを使った事例を増やしていくのはアリだなって。「起業ってゼロイチだけど、函館の起業ってちょっと違うスタイルだよね」みたいな。そのスタイルを表す言葉も必要になってくると思うんですけど。
 
―「函館式」みたいな起業スタイルが確立したら、街は面白くなりそうですね。
 
佐々木:そうそう! そういうモデルケースがあれば、事業承継というハードルも下げられるだろうし。とはいえ、僕らも事業を承継して、リブランディングして、儲かって、地元もハッピーになるみたいな簡単な話ではないと思ってます。実際には、もっと泥臭い作業になるはずなので。まずは「Zoomがわかりません」みたいなところからはじまったりするでしょうから(笑)。
そういうのをクリアしながら進めるには、現地でコミットする人が絶対必要になるんですよ。だけど、それを東京の人にしかできないと決めつけるのはよくないなって。地元の人と手を組んでやれるってところまで業務と意識のハードル下げないと、サスティナブルじゃないと思うんですよね。
 
―人を送り込むだけでは、継続的な事業にならないですもんね。
 
佐々木:だから、地元の人と手を組んで、ハードルが低い函館式みたいな起業をアイコン化してPRしていけたらなと考えています。それによって、少しでも多くの若者や学生が商売をはじめるきっかけが生まれ、起業や事業承継の数が増える街になっていったらいいですね!
 
 
「IN&OUT -ハコダテとヒト-」は、 函館地域承継マッチングプラットフォーム「いさり灯」とミッションパートナーシップを締結しています。
函館地域圏に「無くすより託す」の承継文化形成を目指し、IN&OUT編集部が取材したインタビュー記事を転載しています。